地盤調査だけは手を抜かないで・・・
こんにちは、奈良の注文住宅アドバイザーの辰川です。
さて、あなたは木造住宅の重さはどの位あるか、ご存知でしょうか?
建て延べ面積40坪程度の住宅を考えてみましょう。
各階20坪で総二階建てとして、建物本体だけで20トン近くあります。
そのほか、キッチンなど設備機器、内部の造作物、間仕切り壁、そして家財道具が、更に鉄筋コンクリートの基礎部分を入ると、20~30トンが加わります。
つまり木造住宅の1軒分の重さは、40~50トンにもなります。
これを車に例えると、20坪ほどの敷地上に、カローラ40~50台分の重みが、かかっていると言えば分かり易いです。
これだけの重みを数十年にわたって、支えなければならないわけですから、とりあえず新築から数年間だけ持たせればよい、という安直な考え方ではいけません。
地震による住宅の倒壊を防ぐには、何をすべきかということですが、これには、まずきちんとした地盤調査を実施しなければなりません。
この地盤調査によって、どのくらいの重さまで地盤が耐えられるのか、分析したうえで、必要に応じた地盤の改良工事や、基礎の設計を行うことが大切です。
万が一、調査結果によって地盤が軟弱であっても、適切な改良工事を行うことで被害を最小限に留めることが可能となります。
ところが、施工する会社によって、地盤に対する考え方に大きな違いが出ます。
というのも、奈良のとある分譲地で、こんな経験をしたからです。
その現場では、着工前に地盤調査を行うと、地表から50センチ下に大きな岩がいくつも見つかったのです。
調査に使う鉄の棒は、敷地内のどの箇所でも、岩に当たって沈みません。
要するにデータが取れないのです。
第三者機関による地盤調査ですから、データが出ない以上は基礎の設計も進みません。
ひょっとしたら、この岩は地山の一部ではないだろうかという淡い期待はありました。
なぜなら、隣地で建築していた、ある大手住宅メーカーは改良工事をせず、その岩の上に基礎を造っていたからです。
詳しいデーターを採るには、岩の下の地層を調べるしかありません。
これには岩をどけるという、実に手間のかかる作業ですが、これは家を建てる前しかできないこと。
機械を使って大きな岩を粉砕しながら、地盤調査を行ったのですが、その結果はどうだったか。
何とその下には、深さ7~8メートルの軟弱地層が見つかったのです。
つまり、大きな岩は地山の上部ではなかったのです。
大きな岩が、地中からゴロゴロ出てきます。つまり付近はもともと谷になっていて、造成時に埋め立てが行われていた場所ということです。
ここで問題なのは住宅会社が地盤調査をしなかったこと、あるいは調査はしたものの結果を知りながら効率面を優先したことでしょうか。
住宅のように人命を預かる会社としてはただただ甘いといわざるを得ません。ではなぜそうなったしまうのでしょうか。
その一番の理由は、同一会社が設計・施工・地盤調査など何もかもやってしまうことにあります。
これでは第三者のチェックが入る余地はないわけです。
大手住宅メーカーなどはその典型といえるもの。
すべての会社がそうだといいませんが、施工のやり易さ、効率性に重点が置かれるため、建て主にとって良かれと思う事も、会社の利益にならないことは、敢えて目をつぶる。
営業マンの誠意は感じられても、会社のシステム自体が施工と設計の「なれ合い」構造ですから、最善を尽くそうとしない。そのしわ寄せは建て主にいくわけです。
勿論、ずっと何も起こらずこの先、平穏に住めれば問題ないわけですし、また大手だから安心ということで、依頼する建て主もいますから。
しかし、大手が危機管理に優れているということはないのは、残念ながらないことは確かなようです。
いかがでしたか?
これから注文住宅や建て替えを計画している方は、会社の規模や着工数よりも、その会社のシステムや代表者の考え方をじっとみることです。
結局のところ、何十年と暮らす家ですから、その住宅会社が自分たちの家づくりにピタッと合っているかどうかが何より大切です。
それではまた。
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