地震対策はここが肝心!?
こんにちは、奈良の注文住宅アドバイザーの辰川です。
今回は耐震の話をします。
先の東日本北大震災では、多くの住宅が被害に遭いました。
しかし、その多くは津波によるもので、現行の建築基準法で建てられた木造住宅は地震に対してほとんど問題はありませんでした。
だからといって、地震対策を怠ってよいわけではありませんね。
奈良を含めた近畿地方では、いつ大地震がやって来ようと大丈夫なように強い家をつくることが大切です。
ところで、奈良は昔から幸いというか、大きな地震とは縁のない場所といわれています。
だからこそ、昔から平城京や藤原京といった都が置かれていたのだ、とかいう話もあります。
でも実際のところ、どうなんでしょうか。
過去の記録を調べてみると、一番近いところでは、明治6年に奈良県で地震による人的被害がありました。
さらに遡れば、19世紀半ばに、三重県の伊賀上野から奈良・大和郡山にかけて死者280名という被害が起こっています。
やはり、百年に一回程度、奈良にも大地震が来ていたのですね。
ただし、奈良県は海がないので、海溝型地震は起こらないそうですが、奈良盆地の北側は地盤がやや軟弱なため、揺れが強くなる可能性があります。
ところで、住宅が地震にどれくらい強いかを表す目安として、「耐震等級」というものがあります。
その評価結果とは、つぎのようなものです。
・等級1:建築基準法の新基準(=耐震構造)に相当するレベル
・等級2:等級1の1.25倍の地震力に対して倒壊、損傷しない
・等級3:等級1の1.5倍の地震力に対して倒壊、損傷しない
では、実際問題として、これから奈良で家を新築、あるいは建て替えする場合、どんな対策が最も地震に有効なのでしょうか。
現在のところ、建物の地震対策としては、大きく3種類があります。
それが、耐震、制震、免震というもの。
では、ここで、「耐震構造」「制震構造」「免震構造」の違いを整理してみましょう。
「耐震構造」とは・・・
建物の骨組み自体を強く頑丈につくり、地震の揺れを受け止めて耐えるのが耐震構造です。
現在の新耐震基準では、全ての住宅が「数百年に一度程度の地震」に耐えられる前提となっています。
百年に一度。なるほど、奈良では、ちょうど符号しますよね。
ただし高層階であれば、耐震構造は家具などは揺れの影響を受けますが、2階建て程度の個人住宅であれば、コスト面と性能面で最もバランスがとれた耐震構造といえます。
「制震構造」とは・・・
ダンパーなどの制振装置を組み込むことで、地震の揺れを吸収する構造です。タワーマンションなどに有効で、とくに高層階の揺れをある程度抑えるので、家具の倒壊被害を受けることが少なくなります。
ただ欠点は、建設費が高くなることです。要するに、個人住宅には不向きといえます。
また、一般の中高層マンションでは制震装置の効果が薄いため、あまり利用されていません。
「免震構造」とは・・・
建物と基礎が直接固定されないように、ゴムやローラーなどを使って、地震の揺れを足元で吸収する構造です。
免震構造は、最近はマンションでの採用が増えてきましたが、ただし、定期的なメンテナンスや交換、強い地震を受けた後の免震装置の修理などにもコストがかかってきます。
ですから、免震構造もコスト面で、一般住宅には不向きといえます。
以上のことから言えるのは、免震や制震はマンションのような大規模建築には向いていますが、一方の個人住宅であれば、耐震構造が最も適しているのが分かります。
ところで、人が「地震」という言葉から受ける不安感に付け込んだ、商品や工法が、やたらと宣伝され、出回っているような気がします。
こうした高額部材が実際、金額に見合うだけの効果があるのやら疑問と言わざるを得ません。
ただし、家にこれだけお金がかけたのだから、という自己満足感を得たい人にはある意味、納得のいくお金の使い道かもしれませんが・・・
そうでない大多数の人には、最新の耐震基準に裏付けされた耐震技術で、しっかり施工してもらうほうが、はるかに信頼性、安心感があります。
勿論、それはコスト面から見ても明らかなことですね。
次回は、大地震に対して何が必要なのかについてです。
それではまた。
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