ツーバイフォーとはどんなものか?
こんにちは、奈良の注文住宅アドバイザーの辰川です。
日本で建てられる木造住宅には、前回にお話しした伝統的な「軸組(じくぐみ)工法」と、大手住宅メーカーが採用している「ツーバイフォー工法」があります。
アメリカやカナダなど北米では、ちょっとしたリフォームは自分でやってしまう習慣があり、ツーバイフォーもそうした背景のなか、誰にでも建てられるように開発された工法です。
つまり、あらかじめ用意されたパネルを釘で打ち付ける工法であり、例えると、8割の釘をきちんと打ちさえすれば、2割は失敗しても良いという考え方です。同じ面積の建物であれば、軸組工法の約4倍の釘を使います。
従って、軸組工法に必要な高度な熟練さを必要としない、単純な工事だけに工期も短くなります。
大手住宅メーカーの家づくりが、これに類似した工法を採り入れるのも、合理的で熟練差を必要としない工法だからです。
材料は、2インチ×4インチ(いわゆるツーバイフォー)という基本規格品の角材を使うため、ヒノキや杉といった樹種にこだわる必要は一切ありません。
実際、この角材を用いたパネルを「壁」によって、建物全体を支えますから、ツーバイフォーのメリットは、耐震性が高くて、気密性に優れているのです。
その一方、デメリットもあります。
日本の木造では上棟時に屋根を架けるのですが、ツーバイフォーは下から順番に組み立てるので、屋根まで辿り着くのに数日かかることです。
その間、雨が降ると屋根がないので材料が水を含んでしまいますから、業者がどのような雨対策をとるのかが、要チェックポイントといえますね。
ところで、気密性に優れているということは、部屋の中で発生した水蒸気が、はなかなか外に出ないということを意味します。
この結露の心配は同じ木造でも、「軸組」工法に比べて大きくなります。
とくに奈良特有のジメッとした梅雨の時期や、暖房の入れたまま閉め切った冬場はもちろんですが、昨今の高気密住宅であれば、余程、換気に心がけないと内部結露で家を傷めることになります。
そのほかでは、リフォームの難しさがあります。
私も中古物件の売買で、買主から改築の相談を受けますが、対象の建物がツーバイフォーの場合、壁で建物を支えているため、隣り合った2つの部屋を1つの部屋にするといった改築はまず困難です。
建物の荷重を「壁」で支えるツーバイフォーは、壁と床がガッチリ接合されることではじめて耐震性を確保するからです。従って、安易に壁を取り壊すと一気に強度を弱めることになります。
また、柱や長押をいった本格的な和室のつくりは、壁がパネルで構成されるこうした工法とはなじまないので、別途料金が求められますのが一般的です。
いかがでしたか?
ツーバイフォーは基本的には増改築できないと思っておいたほうがよいです。従って、この工法で新築するときは、将来のライフプランをしっかり確かめてから、設計してもらうことが必要といえます。
次回、RC造りと、鉄骨造りについてです。
それではまた。
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